チャンドラーの文章
■今日の文章
私たちは別れの挨拶をかわした。
車が角をまがるのを見送ってから、階段をのぼって、
すぐに寝室へ行き、ベッドをつくりなおした。
枕の上にまっくろな長い髪が一本残っていた。腹の底に
鉛のかたまりをのみこんだような気持だった。
こんなとき、フランス語にはいい言葉がある。
フランス人はどんなことにもうまい言葉を持っていて、
その言葉はいつも正しかった。
さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ。
■読後ノオト(これは解説ではありません)
ハードボイルドという言葉を実感したのはもちろん
彼の小説を読んだときことだ。
レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」


