小林秀雄の文章
■今日の文章
人の一生という言葉に問う事は、この言葉から問われるという事だ。
言葉を弄するのではない。
それは、意識の反省的経験に固有な鋭敏性なのである。
古代の支那人は、人の心を琴に喩えるについて、古代ローマ人に
相談した訳ではない。
「ホーマーの琴」がなかったら、プラトンの学問がなかったのは、
「詩」を学ばなければ、孔子の学問がなかったのと同じ事である。
これを想う事が、月への旅行より詰まらぬ旅行であろうか?
■読後ノオト(これは解説ではありません)
引用としては、少々分りにくいかもしれませんね。
出典は小林秀雄の「還暦」と題する随想からです。
彼の文章作成法を安易に真似ることは極めて危険である
とは思いますが、文章が上手くなりたければ、
彼の文章から学ぶことは実に多いと思っています。
彼の文章は常にどこをとっても彼の文章にしか
見えません。それが彼の特徴です。こんな書き手は
やはり数少ない存在であると思っています。
実に特異な存在であると思います。


