レイチェル・カーソンの文章
■今日の文章
自然は、沈黙した。薄気味悪い。
鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。みんな不思議に思い、
不吉な予感におびえた。
裏庭の餌箱は、からっぽだった。ああ鳥がいた、と思っても、
死にかけていた。ぶるぶるからだをふるわせ、飛ぶことも
できなかった。
春がきたが、沈黙の春だった。
いつもだったら、コマドリ、スグロマネシツグミ、ハト、
カケス、ミソサザイの泣き声で春の夜は明ける。
そのほかいろんな鳥の鳴き声がひびきわたる。
だが、いまはもの音一つしない。
野原、森、沼地・・・・・・・みな黙りこくっている。
■読後ノオト(これは解説ではありません)
1962年にこの文章を含む「沈黙の春」は発表された。
もちろん、作者はレイチェル・カーソン。
この本を新潮文庫で読めてしまうことが、わが国の
翻訳文化の実力でしょう。


