ヒュームの文章
■今日の文章
冷淡で利害的関心から離れた理性は、行動の動機ではない。
理性は、幸福を獲得し不幸を避ける手段をわたしたちに教えることに
よって、欲求もしくは傾向性から受けとる衝動を導くにすぎない。
好み(テイスト)こそ、快と苦をもたらして、そこから幸福と不幸を
生みだすがゆえに、行動の動機へと生成するものである。
好みこそが、欲望と意志との第一のバネ、第一の衝動である。
■読後ノオト(これは解説ではありません)
哲学者の文章の中でもヒュームの文章は、読んだ時からたいへん
解り易いと感じています。
この文章は「道徳原理の研究」という著作からの引用です。
訳者も高名な哲学者によるためからかもしれません。
哲学も科学ですから、文章表現の内部に登場する言葉を、すべて
再定義することも辞さない姿勢の哲学者の文章は、その哲学者の
もつ情熱とは裏腹に、文章がたいへん読みにくくなる傾向がある
と感じたことがあります。
ヒュームの書くものは、難しいことを比較的解り易く書くことが
聡明さの証である、という思想が反映された文章のように、感じ
ています。


