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西田幾多郎の回想

■今日の文章


回顧すれば、私の生涯は極めて簡単なものであった。その前半は黒板を
前にして坐した、その後半は黒板を後にして立った。


黒板に向って一回転をなしたといえば、それでわたsの伝記は尽きる
のである。


しかし明日ストーブに焼べられる一本の草にも、それ相応の来歴があり、
思出がなければならない。


平凡なる私の如きものも六十年の生涯を回顧して、転た水の流と人の行末と
いう如き感慨に堪えない。


■読後ノオト(これは解説ではありません)


この文章は「或教授の退職の辞」と題されたものからの引用です。
味もそっけもない、と言えば言えなくもないのですが、そこは感慨ひとしお
という趣でしょう。


この文章の書き手が、「善の研究」を残した西田幾多郎氏のものということ
であれば、もう一度頭から丁寧に読み返したくなるのではないでしょうか。

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