ブーバーの文章
■今日の文章
メロディーは音から成り立っているのではなく、詩は単語から
成り立っているのではなく、彫刻は線から成り立っているのではない。
これらを引きちぎり、ばらばらに裂くならば、統一は多様性に
分解されているにちがいない。
このことは、わたしが「なんじ」と呼ぶひとの場合にもあてはまる。
わたしはそのひとの髪の色とか、話し方、人柄などを取り出すこと
ができるし、つねにそうせざるを得ない。
しかし、そのひとはもはや「なんじ」ではなくなってしまう。
■読後ノオト(これは解説ではありません)
「我ー汝」「我ーそれ」という独特の言葉の使い方で、独自の
認識論を展開したブーバーという哲学者の文章です。
ある意味でなかなか難解な文章とも言えますが、基本的には
「認識論」なので、たとえば「人間」をその人の持っている
特徴によって認識しようとした瞬間から、「人間」としての
認識ではなくなってしまう、と解するなら、
それだけでたいへん立派な見識を含んだ文章である、と言え
ましょう。


