和辻哲郎「古寺巡礼」より
■今日の文章
わたくしたちは引きよせられるように近々と厨子の垂れ幕に近づいて
その顔を見上げた。
われわれ自身の体に光線がさえぎられて、薄暗くなっている厨子のなかに、
悠然として生気を帯びた顔が浮かんでいる。
その眉にも眼にも、また特に頬にも唇にも、幽かな、しかし刺すように
印象の鋭い、変な美しさを持った微笑が漂っている。
■読後ノオト(これは解説ではありません)
この文章は、法隆寺の夢殿観音の印象を書いたものです。
もちろん、この文章の出典は和辻哲郎の古寺巡礼からです。
日本の歴史に強く関心を持つようになった頃、この和辻哲郎の「古寺巡礼」
と、亀井勝一郎の「大和古寺風物誌」は愛読する2冊でした。
今年は歴史関係の本を読み返してみたいと考えています。


