イプセンの文章
■今日の文章
物を書くとは、いったい、どういうことを言うのでしょうか?
近頃になってやっとわかったのは、書くというのは、もともと
見るということだ、ということです。
ただし、・・・いいですか・・・見られたものが、作者がそれを
見たのときっちり同じ形で、読者のものとなるように見ることです。
しかし、本当にそれを生き抜いたことだけがそう見え、そうなって
くるのです。
しかも、それについて書くことを生き抜くということこそが、近代
文学の秘密なのです。
■読後ノオト
(これは解説ではありません)
この文章は、書かれたものではなく、生誕70周年のパーティーでの
スピーチで語られたものとされている。
スピーチの主はノルウェーを代表する作家イプセンです。こんな文章
を引用して何だとお思いかもしれませんね。
しかし、「書く」ということはどういうことなのか?考えたことが
ある方はどれぐらいおいででしょうか?
不自由ながらも、私たちは「言葉」というものを持っておりますが、
「書く」ということは、その「言葉」というものを意図をもって並
べることではないのです。
モノを書く人間にとって、書くとは、考えることとイコールであるし、
書くという制約の中に自らの喜びも哀しみも全て込めることである、
と考えています。


