アルチュール・ランボー 早熟の天才詩人登場!
■ページ1■今日の文章
いまはできるかぎり身をもちくずそう。
なぜって、私は詩人になろうと思っているのだし、「見者」
になろうと努めているからです。
すべての感官を錯乱させることによって未知のものに到達
することが肝要なのです。
大変な苦痛ですが、そのためには強くなければならず、
生まれついての詩人でなければなりません。
そして、私は自分が詩人であることに気づきました。
われ思う、なんて言うのは間違いです。人われを思う、と
言うべきでしょう。
私とは一個の他人なのです。
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■ページ2■解説
手紙なんて紹介している場合ではないかもしれない。
或る夜、俺は『美』を膝の上に坐らせた。
−−−苦々しい奴だと思った。−−−俺は思ひつ切り毒ついてやった。
俺は正義に対して武装した。
俺は逃げた。ああ、魔女よ、悲惨よ、憎しみよ、俺の寶が託されたのは貴様らだ。
俺はとうとう人間の望みという望みを、俺の精神の内に、悶絶させてしまったのだ。
そのフレーズと言い、原本で見た印刷されて文字のように美しい筆記体
と言い、彼は10代で自らのミューズを引き摺り出し、小突き回した挙句、
20代にしてその天才を葬り去り、アフリカ大陸へ逃亡した。
今日の文章は彼の書簡からの引用であり、解説の文章は彼が書いた傑作中の傑作
「地獄の季節」の冒頭である。
彼に出会うことがなければ、その後の進路は変っていただろう。
そんなことを今さら言っても仕方がないが。
アルチュール・ランボー。彼の詩を読むことはもうないかもしれない。


