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武田泰淳 生き恥をさらした男   司馬遷

今日の文章

司馬遷は生き恥をさらした男である。土人として普通なら
生きながらえるはずのない場合に、この男は生き残った。


口惜しい、残念至極、情けなや、進退きわまった、と知り
ながら、おめおめと生きていた。


腐刑と言う宮刑と言う、耳にするだにけがらわしい、性格
まで変るとされた刑罰を受けた後、日中夜中身にしみる
やるせなさを噛みしめるようにして、生き続けたのである。


そして執念深く『史記』を書いていた。

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■解説


戦後、創刊された『近代文学』を中心に活動した作家たちに
傾倒した時期もあるけれど、ただ彼だけは、むしろ「司馬遷」
について書いた本に親しみがある。


私は本当はとても国語が苦手で、特に本読みが嫌いで嫌いで
仕方なかった。特に小学校、中学校はそうだった。


しかし、知識欲が出て来ると、学校の教科書であれ、新聞であれ
マンガであれ、書かれていることに興味を持つようになった。


司馬遷なんて、トンデモナイ人生を行きながら、「史記」という
今となっては、なくてはならない貴重な歴史書を書き残した。


とても興味が沸いた。だいたい「宮刑」って何?どうしてそんな
ことをするんだろう?


女性には宮刑ってあるんだろうか?思春期の男子にとっては、
知識欲も他の欲も刺激されて、司馬遷の人生を追った。


そのとき手にしたのが、武田泰淳氏の「司馬遷」だった。


彼の率直な書き方がビンビン心に迫ってきた記憶はまだ、心の中
に残っている。


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