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オノレ・ド・バルザック  人間喜劇!人間喜劇!

■ページ1■今日の文章


パリはまことに大海原のようなものだ。そこに測鉛を投じたとて、
その深さを測ることはできまい。


諸君はこの海洋をめぐり、それを描きだそうと望まれるだろうか。


それをめぐり、かつ描くことに諸君がいかに精魂をこめようと、
またこの大海の探検家達がいかに大勢で、いかに熱心であとろうと、
そこにはかならず未踏の地が残り、見知らぬ洞穴や、花や、真珠や、
怪物や、文学の潜水夫からは忘れられた前代未聞のなにかが残る
ことだろう。


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■ページ2■解説


こんなに饒舌なセリフを登場人物に語らせて、一向に遠慮のない
作家は、この男しかいない。


彼は19世紀前半のフランス社会に如何にも登場したであろう、
多種多様な人間を「人間喜劇」というくくりで書きまくったと思われる。


今風に言えば「かなり濃い感じ」の作家だ。決して作風は暗くはない
けれど、笑うに笑えぬ悲喜劇をいくつもモノにした。


「ゴリオ爺さん」「谷間の百合」「従兄ポンズ」「ウージェニー・グランデ」
題名を挙げれば、名作ばかり。


以前、紹介したアランは、バルザックとスタンダールの代表作を
50回以上読んだと書いている。


要するにそれだけ面白い。膨大な作品群から想像するに、ほとんど書きに
書きまくった人生だったと思う。


フランスを代表する小説家オノレ・ド・バルザック。彼の創作意欲は
ほとんど信じられない領域に達していた。

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