メルマガ【毎日1分!日本語の文章】 > 小説家の文章 > D.H.ロレンス 空に突き上げる潮のように!
無料メールマガジン「毎日1分!日本語の文章」
ネット時代は書く時代。書くためには沢山読むことがとても役に立ちます。日本語で書かれた素敵な文章を毎日1つお届けします。 (マガジンID:0000164365)
メールアドレス:
Powered by

D.H.ロレンス 空に突き上げる潮のように!

空に突き上げる潮のように!

■今日の文章


翌日彼女は森へ出かけた。


曇った、静かな午後で、暗緑色の山藍(やまあい)が
榛(はしばみ)の矮林の下に拡がっていた。


すべての樹木は音も立てずに芽を開こうとつとめていた。


巨大な槲(かしわ)の木の樹液の、ものすごい昂(たか)まり。


上へ上へと騰(あが)って芽の先まで届き、そこで血のような赤銅色の、
小さな焔(ほのお)かと思われる若葉となって開こうとする力を、
彼女は今日は自分のからだの中に感じた。


それは上へ上へと脹れあがり、空に拡がる潮のようなものだった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


■解説


山藍(やまあい)や榛(はしばみ)は植物の名前です。
矮林(わいりん)は背の低い林という意味です。


この文章を味わうのにこんな細かいことが分からなくても
読み飛ばしてしまって構わない、と個人的には思います。


注目したいのは、この文章を書いている作者の視点です。


植物の中の「激しい」とも言える生命力の表現の仕方。


そして、その突き上げるようなエネルギーを、
空に向かって吹き上げるような潮として、
女性の体の中にも感じさせようとしています。


分かりますか?
正直、ちょっとHな感じですね。


疼く(うずく)ような感じを、こんな例えで、
表現しているんですね。


この文章は、伊藤整氏による翻訳で「チャタレイ裁判」として
有名になりました。


そう、D.H.ロレンスが書いた「チャタレイ夫人の恋人」から
の一節です。

無料メールマガジン「毎日1分!日本語の文章」
ネット時代は書く時代。書くためには沢山読むことがとても役に立ちます。日本語で書かれた素敵な文章を毎日1つお届けします。 (マガジンID:0000164365)
メールアドレス:
Powered by
This website is powered by Movable Type 3.17-ja 毎日1分!日本語の文章.